Macのファン内蔵モデルでは、Macが動作中に一定以上発熱すると、冷却するためにファンを回転させます。
しかし、Macユーザーの中には「ファンが常に起動していて心配」「音が異常にうるさい」などの悩みを抱えている方も少なくありません。
この記事では、ファンが止まらない原因と、それに対する具体的な対処法をご紹介します。
どうしても改善しない場合の対応策や、発熱の予防方法についても記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。
Part1:ファンが止まらない原因を分類して知ろう
Macを使っていて「ファンがうるさい」「ファンの調子が悪い」と感じた場合、まずは原因を把握することが重要です。
環境・通気不良
ファンが止まらない主な原因の1つが、使用環境による通気不良です。
通気不良を招くシチュエーション例
- 室温上昇(特に夏場の高温多湿)
- クッションや布団の上で使用(排熱が妨げられる)
- Macの通気口を塞ぐ配置
夏場は特に注意が必要で、PC用冷却スタンドや冷房の併用がおすすめです。
これらの環境が原因でオーバーヒートを起こすと、強制シャットダウンや故障の原因になります。
ソフトウェア・CPU高負荷
もう1つの大きな原因は、CPUへの負荷です。
CPU負荷を引き起こしやすい操作
- 動画編集や重いソフトの長時間使用
- Chromeなどで大量のタブを開く
- バックグラウンドで常駐ソフトが動作
こうした状態ではCPUが常時処理を続けるため、ファンの動作が止まらなくなります。
このような時は、アクティビティモニタを使ってCPU負荷の高いプロセスを特定しましょう。
CPU負荷の高い代表的なソフト
- Chrome、Firefoxなどのブラウザ
- セキュリティソフト(例:「kavd」)
- Docker Desktopなどの開発ツール
不要なプロセスの終了や、設定の見直しで改善が見込めます。
未実施の基本メンテナンス
Macのファン制御には、システムレベルの管理が関わっているため、不具合が起きている可能性もあります。
基本的なメンテナンス方法
- SMCリセット
- NVRAMリセット
- Apple Diagnosticsでの診断
これらはApple公式が案内している方法なので、安心して実行できます。
ハードウェア不具合
ファンが物理的に劣化していたり、センサー系統が故障しているケースも考えられます。
特に、落下や衝撃を与えた後に異常が出た場合は、早めにAppleサポートへ相談しましょう。
Appleシリコン特有の挙動
M1やM2チップ搭載Macでは、従来とは異なる動作パターンを示すことがあります。
基本的に静音設計ですが、突然ファンが起動したように感じる場合は、チップが自動で温度制御していることもあります。
異常が続く場合は、macOSのアップデート確認やSMCリセットをお試しください。
Part2:原因別の具体的な対処法
このセクションでは前述の原因に対し、具体的にどういった対処を行えば良いかをご紹介していきます。
環境改善:冷却スペース確保/室温調整
ファンが止まらない問題がMacの周辺環境に起因すると考えられる場合、Mac本体の冷却や室温調整を行うことで改善する可能性があります。
ただし、Macを直接冷たい液体などで冷やすのはNG。結露による故障のリスクがあります。
冷却したい場合はPC用クーラーの使用がおすすめです。USBで接続できるタイプもあり、Macを外側から効率的に冷やすことができます。
室内で使用する場合はエアコンなどで室温を適切に調整し、環境改善から様子を見ましょう。
高負荷プロセス削除:アクティビティモニタ実践手順
Macに標準搭載されているアクティビティモニタを活用すれば、ファンの動作に影響する高負荷プロセスを特定・終了できます。
アクティビティモニタの起動手順
- Finderを開く
- サイドメニューから「アプリケーション」→「ユーティリティ」フォルダを開く
- 「アクティビティモニタ」を起動
- 上部タブから「CPU」を選択

CPUの使用率に加えて、メモリ・ディスク・エネルギー使用状況も確認可能です。
Macの動作状況を視覚的に把握して、ファンの異常を改善していきましょう。
基本リセット実施(SMC/NVRAMのリセット)
システムの異常が原因でファンが止まらない場合、SMCやNVRAMのリセットが有効です。
Intel Mac:SMCリセット手順(ノート型)
- Macをシャットダウン
- 「Shift + Control + Option」キーを同時に長押し
- そのまま電源ボタンを10秒間長押し
- 指を離し、電源を入れる
Intel Mac:SMCリセット手順(デスクトップ型)
- Macをシャットダウン
- 電源コードを外す
- 15秒待って電源コードを接続
- 5秒待って電源を入れる
Intel Mac:T2チップ搭載ノート型
- Macをシャットダウン
- 「Shift(右)+ Control(左)+ Option(左)」キーを7秒間長押し
- そのまま電源ボタンを7秒間長押し
- 4つのキーを離し、数秒後に電源を入れる
Intel Mac:NVRAMリセット
- Macをシャットダウン
- 電源を入れてすぐに「Option + Command + P + R」を20〜30秒長押し
- 起動音が2回鳴ったら指を離す(T2チップ搭載機はAppleロゴが2回表示)
Appleシリコン:NVRAMリセット
- 電源を再起動するだけで自動リセットされます
Appleシリコン:電源動作の変更
Appleシリコンでは自動で電源が入る機能をターミナルで無効化できます。
手順
- Finder → アプリケーション → ユーティリティ → ターミナルを起動
- 以下のコマンドを入力:
sudo nvram BootPreference=%00
:蓋・電源接続ともに起動しないsudo nvram BootPreference=%01
:蓋を開いても起動しないsudo nvram BootPreference=%02
:電源接続では起動しない- 管理者パスワードを入力し「return」
Apple Diagnostics:起動方法と診断結果の見方
Apple Diagnosticsは、ハードウェア異常をチェックできる公式ツールです。
Appleシリコン:起動手順
- Macをシャットダウン
- 電源ボタンを長押しして、起動オプションが表示されたら指を離す
- 「Command + D」を長押し
Intel Mac:起動手順
- Macをシャットダウン
- 電源を入れてすぐに「D」キーを長押し
- 言語選択または進行状況バーが表示されたら指を離す
- ※起動しない場合は「Option + D」を試す
診断結果は英数字のコードで表示されます。Apple公式サイトの一覧ページでコード内容を確認し、必要な対処を行いましょう。
Part3:それでも止まらない場合に試したい3つの手法
前のセクションでご紹介した対処法を実施してもファンが止まらない場合は、以下の方法をお試しください:
ファンが止まらない時に試す方法
- 【方法1】: システム最適化ツールを活用する
- 【方法2】: セーフモードで起動して問題を切り分ける
- 【方法3】: Apple公式サポートに相談する
【方法1】システム最適化ツールの活用
Mac向けのサードパーティー製システム最適化ツールを使えば、余分に使われているキャッシュを削除し、動作を軽くできます。
中でも「CleanMyMac」は高機能な定番ツールとして知られています。主な機能は以下の通りです:
CleanMyMacの主な機能
- パフォーマンスの向上
- 不要なアプリの削除
- 不要ファイルの検出と削除
- セキュリティケア
- システム最適化
無料で使える代替ツールとしては、「Onyx」も有名です。「Onyx」はCleanMyMacより機能は少ないですが、基本的な最適化は可能です。まずは無料の「Onyx」から試してみるのもよいでしょう。
【方法2】セーフモード起動での動作検証
Macのセーフモードで起動することで、ソフトウェアが原因か、ハードウェアが原因かを切り分けできます。
セーフモードでは起動時に以下の処理が行われます:
セーフモードの効果
- 起動ディスクの検証・修復
- キャッシュ類の自動削除(フォント・カーネル・システムなど)
- 不要な拡張機能の読み込み停止
起動後の動作によって、以下のように問題の切り分けが可能です:
動作確認のポイント
- セーフモードでもファンが異常 → ハードウェア故障の可能性大
- セーフモードで異常なし → 再起動後に再発するならインストールソフトに問題
セーフモード起動手順(Macの種類別)
■ Appleシリコン搭載Macの場合
- Macを終了する
- 電源ボタンを長押し
- 「起動オプションを読み込み中」が表示されたら指を離す
- 起動ディスクを選択
- 「shift」キーを押しながら「セーフモードを続ける」をクリック
- 左上に「セーフブート」と表示される
■ Intel Macの場合
- Macを終了する
- 電源を入れた直後にshiftキーを押し続ける
- ログインウィンドウが表示されたら指を離す
- ログイン後、「セーフブート」と表示される
【方法3】Apple公式サポートに相談する
ソフトウェアやセーフモードでも解決しない場合は、Apple公式サポートに相談しましょう。
Genius Bar(Apple Storeのサポート)を予約すれば、専門スタッフが対応してくれます。
Macの修理見積もりページでは、以下のような修理費用の目安も確認できます:
MacBook Air(15-inch, M3, 2024)修理例
- AppleCare+ 加入者:約37,100円
- 非加入者:状況により変動(要見積もり)
修理費用は個別ケースにより異なるため、正確な金額は実際の見積もりをご確認ください。まずは一度、Apple公式に相談するのがおすすめです。
Part4:予防と安心のチェックリスト
ここまでご紹介してきた通り、Macのファンに関するトラブルは様々な要因によって引き起こされます。
こうしたトラブルを防ぐために、日常的に実践できる熱対策をチェックリスト形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。
Macのファントラブル対策用チェックリスト
- 常時起動しているアプリは必要最小限にしている
- SMC/NVRAMリセットなどの基本メンテナンスを定期的に行っている
- システム最適化ツールを活用している
- ファンにほこりが詰まらないように定期的な掃除をしている
- Macを使用する室内の気温が適切に保たれている
- ファンの通気口周辺を物で塞がないよう注意している
- 高負荷な作業(動画編集や3D処理など)を長時間続けないようにしている
- 高温の環境では、PC用クーラーなどの冷却対策を行っている
- トラブルに備え、データのバックアップを定期的に取っている
万が一のハードウェア故障に備えたデータ保護
Macのファンが止まらない原因がハードウェアの故障である場合、他の部品や内蔵ストレージ(HDDやSSD)にも影響が及び、データ消失のリスクがあります。
そうしたリスクに備えて、信頼性の高いデータ復元ソフトを用意しておくと安心です。
Recoveritの特長
- 復元成功率 99.5% の高い信頼性
- 対応形式:1,000種類以上のファイル・2,000種類以上のデバイス
- 3ステップで簡単操作
Recoveritを使ったデータ復元の流れ
ステップ1:復元場所を選択
Recoveritを起動し、左側のサイドバーから復元したいドライブやフォルダを選択します。

ステップ2:データをスキャン
選択した場所をスキャンします。スキャン時間は容量によって異なりますが、完了するまで待ちましょう。

ステップ3:データを復元
復元可能なファイルが一覧で表示されます。復元したいデータを選択し、「復元する」ボタンを押すだけです。必要に応じて、プレビュー表示で中身を確認できます。

このように、Recoveritは初心者でも簡単に使えるデータ復元ツールです。Macのハードウェアトラブルに備える一つの手段として、導入を検討してみてください。