Macの動作が遅い、エラーが頻発する、起動しないといったトラブルに悩んでいませんか?そんな時は、MacをフォーマットしてOSを再インストールすることで、パフォーマンス改善や不具合解消につながる場合があります。
本記事では、Macのフォーマット方法やMac OSの再インストール手順を、初心者の方でも迷わず実行できるように詳しく解説します。
また、フォーマット時に迷いやすいファイルシステムの選び方や、フォーマット後のデータ復元に役立つソフトの使い方もご紹介しています。Macのトラブル対策にぜひお役立てください。
目次
Part 1:OS再インストール前に知っておくべきこと
内蔵ストレージのフォーマットとOS再インストールが有効なケース:
検討すべき3つの状況
- 【システム不安定】 エラー頻発・動作不良が継続
- 【性能低下】 著しいパフォーマンスの劣化
- 【譲渡前】 売却・譲渡時のプライバシー保護
MacBookやMac miniなどを長期間使用すると、ファイルの蓄積や設定の競合により、システムの不安定化やパフォーマンス低下が起こりやすくなります。これらの問題は、ストレージをフォーマットしてOSをクリーンインストールすることで解消できることがほとんどです。
また、Macを売却・譲渡する際には、個人情報保護のためにフォーマットとOS再インストールが必須です。
フォーマット・再インストール前の必須準備作業
フォーマットを行うと内蔵ストレージ上のすべてのデータが完全に消去されます。事前に以下の準備を完了させてください:
必須の4つの準備作業
- 【準備1】 データの完全バックアップ:Time Machineで重要なデータを全てバックアップ
- 【準備2】 Apple ID関連のサインアウト:iCloud・iTunes・App Store・iMessageから退出
- 【準備3】 「探す」の無効化:設定→Apple ID→iCloudで「このMacを探す」をオフ
- 【準備4】 Bluetoothデバイスの解除:登録済み周辺機器を解除(プライバシー保護)
これらの準備を万全に行うことで、安全にOS再インストールを進められます。
次のセクションでは、具体的なフォーマット手順とOS再インストール方法をご説明します。
Part 2:Macをフォーマットする方法(ディスクユーティリティ解説)
このセクションでは、macOS復旧システムを使用したMacのフォーマット手順を詳しく解説します。
プロセッサタイプの確認方法
macOS復旧の起動方法は、MacのプロセッサがAppleシリコンかIntelかで異なります。以下の手順で確認してください:
プロセッサ確認の3ステップ
- 【ステップ1】 画面左上のアップルメニューをクリック
- 【ステップ2】 「このMacについて」を選択
- 【ステップ3】
- Appleシリコン: 「チップ」欄に「Apple M1」等と表示
- Intel: 「プロセッサ」欄に「Intel Core 〇〇」と表示

macOS復旧システムの起動方法
内蔵ディスクのフォーマットやOS再インストールを行うための復旧システムの起動手順:
Appleシリコン機種の起動手順
- 【手順1】 Macを完全にシャットダウン
- 【手順2】 電源ボタンを長押し(起動オプション画面が表示されるまで)
- 【手順3】 「オプション」アイコンを選択→「続ける」をクリック
- 【手順4】 必要に応じて管理者パスワードを入力

出典:Apple公式サポート
Intel機種の起動手順
- 【手順1】 Macを完全にシャットダウン
- 【手順2】 電源ボタン押下後、すぐに「⌘ + R」を長押し
- 【手順3】 Appleロゴ/地球儀が表示されたらキーを離す
- 【手順4】 必要に応じて管理者パスワードを入力

出典:Apple公式サポート
ディスクユーティリティでのフォーマット手順
macOS復旧起動後、ディスクユーティリティを使用したフォーマット方法:
Appleシリコン機種のフォーマット手順
- 【操作1】 復旧メニューで「ディスクユーティリティ」を選択
- 【操作2】 サイドバーから「Macintosh HD」を選択
- 【操作3】 ツールバーの「消去」をクリック
- 【操作4】 名前設定(通常は「Macintosh HD」)
- 【操作5】 フォーマット選択(通常は「APFS」)
- 【操作6】 「消去」をクリック→Apple ID認証
- 【操作7】 「Macを消去して再起動」を確認

出典:Apple公式サポート
Intel機種のフォーマット手順
- 【操作1】 復旧メニューで「ディスクユーティリティ」を選択
- 【操作2】 サイドバーから「Macintosh HD」を選択
- 【操作3】 ツールバーの「消去」をクリック
- 【操作4】 名前とフォーマット設定(通常「Macintosh HD」+「APFS」)
- 【操作5】 「ボリュームグループを消去」を選択
- 【操作6】 Apple ID認証後、ディスクユーティリティ終了

出典:Apple公式サポート
Part 3:ファイルシステムの選び方(APFS / Mac OS 拡張 / exFAT)
フォーマット時に選択するファイルシステムは、Macのパフォーマンスと互換性に影響します:
主要ファイルシステム比較
- 【APFS】
- macOS High Sierra 10.13以降専用
- SSD/フラッシュメモリに最適化
- 高速処理・強力な暗号化対応
- 【Mac OS 拡張 (HFS+)】
- macOS 10.12以前との互換性
- HDD向けの従来型システム
- 旧機種利用時に適応
- 【exFAT】
- Windows/Macクロスプラットフォーム
- 起動ディスクには非対応
- データ破損リスクが高い
選択ガイドライン
- 【推奨】 新型Mac (SSD搭載) → APFS
- 【旧機種】 macOS 10.12以前 → Mac OS 拡張
- 【注意】 内蔵ディスクにはexFAT非推奨
※ APFSはセキュリティ/パフォーマンス面で最適な選択肢ですが、Time Machineバックアップ用にはMac OS 拡張(ジャーナリング)が推奨される場合があります
Part 4:OS再インストール手順(クリーンインストール)
ディスクフォーマット後、macOS復旧メニューからのOSインストール手順:
OS再インストールの5ステップ
- 【手順1】 復旧メニューで「macOSを再インストール」を選択
- 【手順2】 管理者パスワードを入力
- 【手順3】 インストール先に「Macintosh HD」を選択
- 【手順4】 ネットワーク接続を維持しインストール完了まで待機
- 【手順5】 設定アシスタントに従い初期設定

出典:Apple公式サポート
※ インストール時間はネットワーク速度とMacモデルにより異なります(通常30分~2時間)
※ 「このMacを探す」が無効化されていない場合、Apple ID認証が要求されます
Part 5:バックアップからのデータ復元(Time Machine ほか)
フォーマット後、事前バックアップからのデータ復元方法:
主要な3つの復元方法
- 【Time Machine】
- システム全体を丸ごと復元
- アプリ設定まで完全復旧
- 復旧メニューから選択可能
- 【iCloud】
- 写真/ドキュメント等の自動同期
- 設定アシスタント中に復元
- ストレージ制限に注意
- 【外部ストレージ】
- HDD/SSD/USBメモリに手動バックアップ
- Finderでファイルを個別選択復元
- 大容量データ向き
Time Machine復元手順
- 【準備】 バックアップ済みの外付けドライブを接続
- 【起動】 設定アシスタントで「Time Machineから移行」を選択
- 【選択】 復元したいバックアップ日時を指定
- 【実行】 復元完了まで待機(数十分~数時間)
💡 日常的なバックアップ習慣が重要!Time Machineは1時間毎の自動バックアップが可能
Part 6:フォーマット後のデータ復元方法
バックアップがない場合やTime Machineが機能しない時でも、データ復元ソフトを活用することで消失データの回復が可能なケースがあります。
例えばRecoveritのような専門ツールは、多くのユーザー様から以下の特性が報告されています:
主な特徴と注意点
- macOSとの互換性:Appleシリコン/Intelチップの両方に対応
- 復元可能なケース:フォーマット誤操作の他、システムクラッシュやパーティション障害時のデータ救出実績あり
- 起動不能時の対応:USB経由での復元が可能(※外部メディアが必要)
- 成功率に関する注意:公式発表値は99.5%ですが、データの上書き状況によって結果が異なります
操作手順の概要
多くの復元ソフト共通の基本的な流れ:
- ソフト起動 → 復元対象場所(例:Macintosh HD)を選択

- 自動スキャン実行(ファイル検出プロセス)

- 検出ファイルから復元対象を選択 → 復元実行

対応範囲の参考情報
- ファイル形式:動画/画像/オーディオ/Office文書等 1,000+形式
- デバイス:内蔵ストレージの他、SDカード/USB/HDD等 2,000+機種
※ すべての環境で復元が保証されるわけではありません。重要なデータは専門業者への相談もご検討ください。
Part 7:フォーマット・OS再インストール時のトラブル解決法
作業中に発生しやすい問題と対応策:
【問題1】ディスクユーティリティでフォーマットできない
原因:通常起動時はシステムディスク操作が制限される
解決策:
1. Macを再起動
2. 起動中にCommand(⌘) + Rを押し復旧モード起動
3. 復旧モード内でディスクユーティリティを実行
【問題2】macOS再インストールが停止/失敗する
以下の順に確認してください:
- インターネット接続:有線接続推奨(Wi-Fiは不安定要因)
- ストレージ空き容量:インストーラーサイズの2倍以上(例:macOS Sonomaなら40GB以上)
- 日付と時刻:復旧モードのターミナルで
date
入力→誤差があればntpdate -u time.apple.com
で修正 - 電源状態:ノートPCは充電器接続必須(80%以上充電推奨)
- 再試行:上記確認後、再インストールを実行
Part 8:フォーマット前のセキュリティ対策
Macをフォーマットする前に、プライバシー保護とセキュリティ上の重要な手順として、iCloudからのサインアウトが必要です。これはAppleの「アクティベーションロック」機能によるものです。
アクティベーションロックとは?
- 目的:紛失・盗難時に第三者の不正利用を防止
- 発生条件:iCloudにサインインした状態で初期化した場合
- ロック時の症状:初期化後に元のApple ID認証が要求される
- 特に注意が必要なケース:
- Macの譲渡・売却時
- 社用Macの返却時
OSバージョン別:iCloudサインアウト手順
▎macOS Ventura 13以降
- Appleメニュー()→「システム設定」
- サイドバー上部の【ユーザー名】を選択
- 画面最下部の「サインアウト」をクリック
▎macOS Monterey 〜 Catalina
- Appleメニュー()→「システム環境設定」
- 「Apple ID」を選択
- 左サイドバーの「概要」→「サインアウト」
▎それ以前のmacOS
- Appleメニュー()→「システム環境設定」
- 「iCloud」を選択
- 「サインアウト」ボタンをクリック
💡 便利な機能:「すべてのコンテンツと設定を消去」(macOS Monterey以降)を使用すると、自動的にiCloudサインアウトとアクティベーションロック解除が行われます