2025年11月下旬現在、Windows 11 Version 24H2環境において、「スタートメニューが開かない」「エクスプローラーがクラッシュする」「デスクトップ画面が真っ黒になる」といった深刻なトラブルが相次いで報告されています。
これは、特定の更新プログラム(KB5062553等)を適用した後に発生する既知の不具合であり、突然の出来事に「パソコンが壊れてしまったのでは?」と不安を感じているユーザーも少なくありません。
本記事では、Windows 11 24H2で発生しているUI不具合の正確な原因と、Microsoft公式情報に基づく回避策を含む5つの対処法を緊急解説します。
あわせて、このトラブルに伴う強制終了や、PCの初期化によって消えてしまった大切なデータを復元する方法についてもご紹介します。
目次
Part1:【緊急確認】Windows 11 24H2で発生中の不具合症状
まずは、お使いのPCで起きている現象が、現在ニュースになっている大規模不具合に該当するかを確認しましょう。以下の症状が出ている場合、ハードウェア(機械)の故障ではなく、ソフトウェアの一時的なバグである可能性が高いです。
Part1-1:スタートメニューやタスクバーが反応しない
Windowsキーを押しても、画面下のスタートボタンをクリックしても、スタートメニューが一切表示されない(反応しない)現象です。
- 「設定」アプリが開けない
- 検索バーに入力しても反応がない
- タスクバーのアイコンをクリックしてもアプリが起動しない
これらはWindowsの画面表示(UI)をつかさどるコンポーネントが、正常に読み込まれていないために発生します。
Part1-2:エクスプローラーが落ちる・画面が真っ黒になる
さらに深刻なのが、ファイル管理ソフトである「エクスプローラー(Explorer.exe)」自体のクラッシュです。
典型的な症状:
- フォルダを開こうとすると、一瞬画面が点滅して閉じてしまう
- サインイン直後、壁紙以外のアイコンやタスクバーが表示されず、画面が真っ黒(ブラックアウト)になる
- 右クリックメニューが表示されない
この状態になると通常のシャットダウン操作も困難になるため、多くのユーザーが電源ボタン長押しによる「強制終了」をしてしまいがちです。
Part2:なぜ突然おかしくなった?原因は「更新プログラム」
IT系ニュースサイト「窓の杜」などの報道によると、この問題の主な原因は2025年11月下旬以降に配信されたWindows 11 24H2向けの累積更新プログラム(KB5062553等)にあるとされています。
技術的な原因:
更新プログラムの適用過程において、スタートメニューやエクスプローラーの描画に必要な「Appx」パッケージ(XAMLコンポーネント)の登録処理に失敗していることが特定されています。
特に、VDI(仮想デスクトップ)環境や、過去にシステムクリーナーソフト等を使用して一部のシステムコンポーネントを削除したことがあるPCで発生しやすい傾向があります。
Part3:【注意】やってはいけない危険な操作
画面が動かないと焦ってしまいますが、以下の行動はデータ消失のリスクを高めるため、極力避けてください。
⚠️ データ消失を招くNG行動:
- 電源ボタン長押しでの強制終了を繰り返す: HDD/SSDの故障やファイルシステム破損の直接的な原因になります。
- いきなり「PCを初期状態に戻す」を実行する: デスクトップやドキュメントに保存していたデータが消える可能性があります。
- CHKDSKコマンドをむやみに実行する: システムが不安定な状態でディスクチェックを行うと、必要なデータが「破損ファイル」とみなされ削除される恐れがあります。
Part4:スタートメニュー・エクスプローラー不具合の対処法5選
ここからは、画面が正常に操作できない状態でも実行可能な、具体的な修復手順を解説します。
対処法1:【公式回避策】タスクマネージャーから修復コマンドを実行
Microsoftや専門メディアで推奨されている、PowerShellを使ったコンポーネント再登録の方法です。スタートメニューが開けなくても実行可能です。
所要時間:5分|難易度:★★☆☆☆
ステップ1 タスクマネージャーを起動
キーボードの [Ctrl] + [Shift] + [Esc] を同時に押して、タスクマネージャーを呼び出します。
ステップ2 新しいタスクの実行
タスクマネージャー右上の「新しいタスクを実行する」をクリックします。
ステップ3 PowerShellを管理者で起動
入力欄に powershell と入力し、「このタスクに管理者特権を付与して作成します」にチェックを入れて「OK」を押します。
ステップ4 修復コマンドを実行
青い画面(PowerShell)が表示されたら、以下のコマンドをコピー&ペーストしてEnterキーを押してください。
Get-AppxPackage -AllUsers | Foreach {Add-AppxPackage -DisableDevelopmentMode -Register "$($_.InstallLocation)\AppXManifest.xml"}
※赤字のエラーが表示されることがありますが、処理が止まるまで無視して待ちます。完了したらPCを再起動して改善したか確認してください。
対処法2:問題の更新プログラム(KB5062553)をアンインストール
直近のアップデートが原因であることが明らかな場合、それを削除するのが最も確実です。
ステップ1 タスクマネージャーから「設定」を開く
スタートメニューが開かない場合、タスクマネージャーの「新しいタスク」に ms-settings:windowsupdate と入力してEnterを押します。
ステップ2 更新の履歴を表示
「Windows Update」→「更新の履歴」→「更新プログラムをアンインストールする」まで進みます。
ステップ3 対象の更新を削除
リストから「KB5062553」(または不具合発生直前のKB番号)を見つけ、「アンインストール」をクリックします。
対処法3:エクスプローラーの再起動を試す
一時的な読み込みエラーの場合、プロセスを再起動するだけで直ることがあります。
ステップ1 タスクマネージャーのプロセスを確認
[Ctrl] + [Shift] + [Esc] でタスクマネージャーを開きます。
ステップ2 エクスプローラーを探す
「プロセス」タブから「エクスプローラー」を探して右クリックし、「再起動」を選択します。
※もし一覧にない場合は、「新しいタスクを実行」で explorer.exe と入力して実行してください。
対処法4:セーフモードで起動してシステム修復を行う
通常起動で操作が困難な場合、必要最小限の構成であるセーフモードで起動し、システムファイルチェッカー(SFC)を実行します。
ステップ1 回復環境に入る
サインイン画面(またはロック画面)右下の電源ボタンをクリックし、[Shift]キーを押しながら「再起動」をクリックします。
ステップ2 セーフモードを選択
「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」→ キーボードの「4」を押してセーフモードを起動します。
ステップ3 修復コマンド実行
コマンドプロンプト(管理者)を開き、sfc /scannow を実行します。
対処法5:新しいユーザーアカウントを作成する
現在のユーザープロファイル情報が破損している場合、別のアカウントでは正常に動作することがあります。
タスクマネージャーからコマンドプロンプト(管理者)を開き、以下のコマンドで新規ユーザーを作成・管理者権限付与を行い、そちらでサインインを試してください。
net user NewUser /add
net localgroup administrators NewUser /add
Part5:解決しない場合の最終手段(PCの初期化)
上記のどの方法でも解決せず、PCの動作に改善が見られない場合、「PCを初期状態に戻す(リセット)」操作が必要になる可能性があります。
しかし、画面が真っ黒な状態や操作不能な状態での初期化は、「ファイルを保持する」を選択してもデータが消えてしまうリスクがゼロではありません。
初期化を実行する前に、可能な限りデータの救出を行うことを強く推奨します。
Part6:不具合や強制終了で消えたデータを復元する方法
今回のWindows 11 24H2の不具合は、UI(画面表示)のトラブルであり、データそのものはディスク内に残っているケースがほとんどです。
- 「デスクトップのアイコンが消えて、ファイルにアクセスできなくなった」
- 「強制終了を繰り返していたら、一部のデータが破損した」
- 「操作不能になり、やむを得ず初期化したらデータが消えた」
このような状況に陥った場合、データ復元ソフトを使用するのが最も有効な解決策です。
Wondershare Recoverit でのデータ復元
Recoverit(リカバリット)は、起動しなくなったPCや、クラッシュしたシステムからもデータを救出できる強力な復元ソフトです。今回の不具合のように「画面が真っ黒で操作できない」場合でも、「クラッシュしたPCから復元」機能を使えば、外部USBから起動してデータを安全な場所にコピーできます。
以下は、「Recoverit」でデータを復旧する手順です。
※PCが正常に起動する場合は通常の「HDDスキャン」を、起動しない・画面が真っ黒の場合は「クラッシュしたPCから復元」機能を使用してください。
ステップ1 スキャンする場所を選択します。
Recoveritを起動し、データが保存されていた場所(デスクトップやドキュメントのあるCドライブなど)を選択します。

ステップ2 消えたデータをスキャンします。
スキャンが開始されます。UI不具合で見えなくなっていたファイルや、強制終了で破損しかけたファイルシステムの中から、復元可能なデータを洗い出します。

ステップ3 データをプレビューして復元します。
検出されたファイルはプレビュー可能です。「復元する」ボタンを押し、元とは別のドライブ(外付けHDDやUSBメモリ)に保存してください。

Recoveritが選ばれる理由:
- システムクラッシュ復元機能: Windowsが起動しない状態でも、起動用USBを作成してデータ救出が可能。
- 高い復元率: 誤って初期化してしまった場合でも、深層スキャンでデータを見つけ出します。
- 安全性: 読み取り専用でスキャンするため、これ以上PCの状態を悪化させません。
Part7:今後の不具合に備えるための予防策
今回のようなWindows Update直後のトラブルは、残念ながら今後も起こり得ます。被害を最小限にするために、以下の対策をしておきましょう。
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更新の一時停止を活用する:
大型アップデート(24H2など)がリリースされてもすぐに適用せず、「設定」→「Windows Update」から「更新を一時停止」し、不具合情報が出揃うまで数週間待つのが安全です。 -
定期的なバックアップ:
外付けHDDやクラウドストレージへ、重要なファイルをこまめにコピーしておきましょう。 -
システムの復元ポイントの作成:
PCの動作が安定している時に復元ポイントを作成しておけば、不具合が起きてもその時点の状態に戻せます。